1.まず「何の価値か」を確認する

「会社の価値が6,000万円」と聞いても、それがEVなのか、株式価値なのか、売却希望額なのかで意味は変わります。また、株式価値は税金や手数料を引いた手取り額でもありません。

中小機構の『事業承継支援マニュアル』は、類似会社比較法の説明で、EVから純有利子負債を差し引いて株式価値を求める関係を示しています。純有利子負債は、有利子負債から現預金を差し引いた額です。中小機構:事業承継支援マニュアル・印刷ページ155「類似会社比較法」

この関係を簡略化すると、次のようになります。

  • 純有利子負債=有利子負債−現預金
  • 株式価値=EV−純有利子負債
  • 同じ式を展開すると、株式価値=EV+現預金−有利子負債

これは、入力したEVから株式価値へつなぐ計算です。EVそのものの見積もり方や、取引で採用する価格を決める式ではありません。貸借対照表の「負債合計」を、そのまま有利子負債として入れないことも確認点です。

2.仮の数字で、足すもの・引くものを確認する

以下は説明用に独自作成した架空例です。実在企業の評価、相場、売却事例ではありません。EVは仮定した6,000万円を使い、倍率による算定は行いません。

現預金はすべて調整対象とし、有利子負債と同じ基準日の金額を使います。その他の資産・負債、資金の利用制約、必要な運転資金などによる個別調整は省略します。株式価値は会社全体の株式に対応する額であり、一株の価格ではありません。

項目仮定した金額・計算
EV6,000万円
現預金700万円
有利子負債2,200万円
純有利子負債2,200−700=1,500万円
株式価値6,000−1,500=4,500万円

展開した式でも、6,000+700−2,200=4,500万円になります。この4,500万円は、置いた前提から得られた参考値です。その金額で買い手が現れることや、経営者の手元に同額が残ることを意味しません。

3.現金で借入を返すと、必ず株式価値が増えるのか

「借入が減れば、株式価値も同じ額だけ上がる」とは限りません。先ほどの例で、現預金500万円を使って有利子負債500万円を返済した場合を考えます。手数料、税、事業活動による変化などを除き、EVは変わらないと仮定した比較です。

項目仮の返済後
現預金700−500=200万円
有利子負債2,200−500=1,700万円
純有利子負債1,700−200=1,500万円
株式価値6,000+200−1,700=4,500万円

借入と現金が同額減ったため、この簡略計算では純有利子負債も株式価値も変わりません。一方、手元資金は減っています。返済するかどうかは、この算式だけでは判断できません。日々の支払いや今後の入出金は、資金繰り表で別に確認する論点です。

4.試算を見るときの確認表

次の表は、相談前に数字の意味をそろえるための編集上の提案です。正式な企業評価の手順や、必要書類を網羅した一覧ではありません。

確認することメモに残す内容
評価対象EV、会社全体の株式価値、売却希望額のどれか
評価方法どの方法・仮定でEVや株式価値を求めたか
基準日と単位現金と借入は同じ時点か。円・千円・万円が混ざっていないか
調整する範囲現預金や有利子負債に何を含めたか。省略した項目は何か
出力の意味税や手数料を含むか。参考値と価格・手取りを区別しているか

特に、すでに株式価値を出している計算結果へ、もう一度現金を足して借入を引くと、調整が重なるおそれがあります。方法の名前だけでなく、計算結果がどの段階の価値なのかを確認してください。

5.参考値と売却価格を分けて考える

J-Net21は、企業評価の結果を交渉の参考として扱い、最終的な売却価格は当事者間の交渉で決まると説明しています。評価方法による参考値が、そのまま成約価格になるわけではありません。J-Net21:会社を売却する際、売却価格をどのように考えたらよいでしょうか。

本サイトの企業価値・株式価値の参考試算も、入力と仮定の関係を理解する補助として使います。画面の数字だけを取り出さず、入力した資料の時点、単位、評価方法を一緒に残しましょう。

よくある質問

EVと株式価値は同じになることがありますか?

この簡略例では、現預金と有利子負債が同額で、ほかの調整がなければ一致します。いつでも同じ値になるわけではありません。

借入がある会社は、株式価値が必ず低いのですか?

借入額だけでは判断できません。この式でもEVと現預金を併せて使います。個別企業の評価には、省略した項目を含む確認が必要です。

計算した株式価値は、売却後の手取りですか?

違います。計算値、合意する価格、税や手数料等を考慮した手取りは分けて扱います。具体的な税務や契約の判断は専門家に確認してください。

相談前に、数字の出どころを整理する

「現金と借入の基準日が違う」「試算の前提が分からない」「事業計画と資金繰りを合わせて考えたい」といった疑問をメモに残しましょう。KCAGの初回相談は無料・全国オンライン対応です。会社のお金や事業計画の整理について、無料相談フォームまたはLINE公式アカウントで相談内容をお送りいただけます。正式な企業評価、仲介、売却価格を約束する案内ではありません。

本記事はAIで作成した一般的な情報の解説です。実在の専門家による監修、個別の法律・税務判断や投資推奨を示すものではありません。情報確認日:2026年10月3日。

参考資料・確認日