請求しただけでは、回収の確認は終わらない

売掛金は、販売した商品やサービスの代金を後日受け取る取引で生じます。J-Net21では、顧客別に金額と回収期日を一覧にし、入金後は対応する売掛金を消し込む管理を紹介しています。消し込みとは、入金と請求を照合し、回収済みの金額を確認する作業です。中小機構J-Net21「債権・債務の管理」

「今月の振込は合計100万円だった」だけでは、全額回収できた取引と、一部が残った取引を区別できません。同じ会社から複数回請求しているときも、会社名だけでまとめず、請求番号まで戻れる状態にします。

最初に集める資料と管理欄

以下は、小規模な管理を始めるための本記事の編集上のひな形です。公式の指定様式ではありません。表計算でも既存の販売管理ソフトでも、元資料との対応が分かる形にしてください。

まとめる情報確認する資料管理欄の例
請求の内容発行した請求書・取引記録取引先、請求番号、請求額
入金の予定取り決め、請求書の期日当初の入金予定日
入金の事実口座明細・入金記録入金日、入金額、未回収額
確認中の事項相手先との連絡記録確認日、内容、次の確認日

まず対象月と確認日を決め、未回収の請求を並べます。請求書を未発行の取引が見つかったら、発行済みと混ぜずに「請求内容の確認中」として担当者へ戻します。請求番号は一度決めたら同じ記録を追えるように保ち、ファイル名や保存先も対応させると確認が楽になります。

入金があったら行う4つの作業

  1. 口座明細で入金日と金額を確認する。 入金の連絡だけでは回収済みにしません。
  2. 対応する請求を特定する。 請求番号、金額、振込名義を照合します。複数請求の一括入金なら、どの請求にいくら対応するか分けます。
  3. 入金額と残額を記録する。 一部入金なら請求全体を完了にせず、残った金額を管理します。
  4. 説明できない差を確認事項に残す。 少額でも、理由を確認せず「回収済み」に合わせないようにします。

例えば振込名義が請求先の名称と違うとき、金額が一致するだけで別の請求を消すと、後から未入金の相手を取り違えます。手数料の差、別請求との合算、入力漏れなどを確認候補としてメモし、資料で確かめます。差額の会計処理や契約上の負担者を、この表だけで決めるものではありません。

架空例:未回収71万円のうち、期日を過ぎた額はいくらか

以下は独自に作成した説明用の架空例で、当社の支援実績ではありません。単位は万円。10月1日時点で確認し、記載の請求以外の残高、値引き、返品、手数料の差はないものとします。

請求・入金予定日請求額確認済みの入金と残額
A社①・9月30日44入金44、残0
B社①・9月30日66入金50、残16
C社①・10月10日33入金0、残33
A社②・10月20日22入金0、残22

請求額は44+66+33+22=165万円、入金済みは44+50=94万円です。未回収額は165−94=71万円。このうち予定日を過ぎたものはB社の16万円、期日前のものは33+22=55万円です。

「未回収71万円」と「入金予定日を過ぎた16万円」は別の数字です。 C社とA社②まで遅延として扱わない一方、B社の一部入金を見て全額完了にもしません。入金済み94万円を翌月の入金予定へ再び足すことも避けます。

予定日を過ぎたものは、日付を消さずに確認する

J-Net21は、取引先別に売掛金の発生と回収予定を整理し、入金の不足・遅れがあれば原因と入金予定を確認する考え方を示しています。中小機構J-Net21「資金繰り改善のための財務・資本戦略」第1節

運用上は、元の予定日を新しい日付で上書きせず、「当初予定」と「確認後の見込み」を分ける方法を提案します。B社の16万円について確認できた内容、確認した人、日付を残せば、予定が変わった理由を次の担当者にも説明できます。

返答がないものに希望の日付を入れて、確実な入金として扱わないことも重要です。見込み未確認の金額を分けたうえで、確認できた入金予定を資金繰り表へ反映します。全体の表へまとめる方法は、資金繰り表の作り方と残高の確認方法で説明しています。

よくある質問

取引先が少なくても管理表は必要ですか?

本記事では、件数の多さより「どの請求が残っているかを他の人にも説明できるか」を確認の目安にしています。少数なら簡単な一覧から始め、同じ内容を複数の表へ手入力する箇所は増やしすぎないようにします。

毎月の残高が合えば、確認は終わりですか?

合計が一致しても、別の取引先へ入金を割り当てている可能性は残ります。月末には請求ごとの残額合計と帳簿を照合し、期日を過ぎたもの、入金先を特定できないものを別に確認します。確認頻度は入金日や件数に合わせて決めます。

相談前には「未回収の内訳」を準備する

相談で整理したいのは、請求が漏れるのか、入金の照合が難しいのか、予定の更新が止まるのかという作業上の課題です。未回収一覧、請求書と口座明細の対応、確認中の事項を手元で整理しておくと、見直したい点が具体的になります。

初回相談無料・全国オンライン対応。 無料相談フォームまたはLINE公式アカウントから、お名前と相談したいことをお送りください。継続支援の内容・費用は別途ご案内します。本記事は一般的な管理方法の説明で、個別の債権回収や法的手続きの判断を扱うものではありません。情報確認日:2026年10月3日。

請求ごとの入金予定を、会社全体の支払いとあわせて整理したい方は、資金繰り表の作成・活用の相談をご覧ください。

参考資料・確認日