利益と現金は、違うものを表している

利益は、一定期間の収益から費用を差し引いたものです。一方、現金・預金の残高は、実際に入ったお金と出たお金によって変わります。以下の2つの式を分けて考えると、違いをつかみやすくなります。

利益 = 収益 − 費用

期末の現金・預金 = 期首の現金・預金 + 期間中の入金 − 期間中の出金

売上を計上した日と、代金が振り込まれる日は同じとは限りません。「今月は黒字だった」という報告だけでは、来週の支払いに使える金額までは分からないのです。日本政策金融公庫の資料でも、損益と実際の資金の動きを別に把握する重要性が説明されています。日本政策金融公庫「アフターコロナを見据えた『資金繰り』を考える」

最初に確認したい3つのずれ

1 売掛金の回収が支払いより後になっている

売掛金は、商品やサービスを提供した後で受け取る代金です。売上が増えても、入金より先に仕入代金や給与の支払いが来れば、その間のお金が必要になります。取引先ごとに、請求額、入金予定日、実際の入金を並べてみましょう。成長期でも売掛金や在庫が増え、資金が不足する場合があります。中小機構J-Net21「黒字倒産とは」

2 在庫の購入にお金が出ている

商品を仕入れて支払うと、お金は先に減ります。しかし、販売前の商品は通常、在庫として残り、支払額の全てがその時点の売上原価になるわけではありません。ここでは商品の評価損などの例外を除いて考えています。中小機構J-Net21「資金繰りとは」

3 借入元金の返済でお金が減っている

借入元金の返済は現金を減らしますが、利益を計算する費用にはなりません。返済予定表では元金と利息を分けて確認します。借り入れたときも、お金は増えますが、借入額自体が売上になるわけではありません。これらは「収益・費用」と「収入・支出」を区別する例です。中小機構J-Net21「資金繰りとは」

架空例で見る、利益30万円でも現金が110万円減る月

以下は説明用の架空例です。実在企業の事例や当社の支援実績ではありません。単位は万円。当月売上100のうち入金は20、残る80は翌月回収予定とします。費用70は全額当月に支払い、さらに未販売の在庫40を購入・支払い、借入元金20を返済したと仮定します。税金、利息、減価償却、前月以前の債権・債務など、ほかの取引は省略しています。

項目利益への影響当月の入出金
当月の売上+100+20
当月の費用−70−70
未販売の在庫購入0−40
借入元金の返済0−20
合計+30−110

利益は「100−70=30」ですが、現金の増減は「20−70−40−20=−110」です。月初の現金・預金が200なら、月末は90になります。

この90は、利益30を足してよい金額ではありません。利益と入出金を足し合わせると二重計算になります。また、翌月に80が入っても、翌月には別の支払いがあるかもしれません。1か月だけでなく、入金と支払いが続く順番を見ることが大切です。

自社では、この6項目を確認する

ここからは、資料を整理するための確認リストです。「分からない」があった項目から調べれば、相談時に説明したい点も具体的になります。

  • 現金・預金:通帳や口座明細と帳簿の残高は一致していますか。複数口座を漏れなく集めましたか。
  • 売掛金:誰から、いつ、いくら入る予定ですか。予定を過ぎたものを分けていますか。
  • 在庫:商品別の数量と仕入額が分かりますか。販売予定を説明しにくいものが残っていませんか。
  • 買掛金・経費:請求書を受け取った日ではなく、実際の支払日で並べていますか。
  • 借入返済:全ての借入先について、元金・利息・返済日を確認しましたか。
  • 臨時の支出:設備購入、納税、賞与など、毎月ではない支払いも書き出しましたか。

例えば、メモに「A社から来月15日に80万円入金予定」と書ければ、単に「売掛金が多い」と考えるより、支払日との関係を確認しやすくなります。この確認は、取引条件を一方的に変えるためではなく、まず事実をそろえるための作業です。

次の3か月を、入出金の予定で並べてみる

集めた情報を、月初残高、入金、支払い、借入・返済、月末残高に分けて表にします。最初は向こう3か月を対象にすると取り組みやすいでしょう。これは本記事で提案する着手範囲で、全社共通の安全基準ではありません。J-Net21でも、過去の資料から資金の動きを確認し、先の見通しを作る方法を紹介しています。中小機構J-Net21「資金繰り表を活用する」

予定と実績は別に残し、月が終わったら差を確認します。「売上が足りなかった」のか「入金が翌月へずれた」のかで、見直す点が変わります。中小機構J-Net21「資金繰り表の作成方法」

お金の流れを、一緒に整理したい方へ

自社で確認した資料をもとに、入金と支払いのずれ、今後のお金の見通し、事業計画に反映したい点を整理するのが相談の出発点です。カチアゲでは、財務・経営コンサルティングとして、キャッシュフロー改善や事業計画づくりのご相談を受け付けています。

初回相談無料・全国オンライン対応。 無料相談フォームまたはLINE公式アカウントから、お名前と気になっていることをお送りください。継続支援の内容・費用は別途ご案内します。

本記事は一般的な仕組みと確認方法を説明したものです。個別の会計処理、借入や返済条件の判断は、実際の資料・契約によって異なります。

利益と現金のずれを、自社の入出金予定に沿って整理したい方は、資金繰り表の作成・活用の相談をご覧ください。

参考資料・確認日